< 西ボリアの状況 >

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豊かな水と自然に恵まれた、命あふれる惑星ウルタール。

 

平和に暮らす文明種族フェーレスの前に現れたのは、フェーレスたちを喰らわんと襲い掛かる異質異形の生体群、アーデルだった。

 

フェーレスたちを統べる世界連合最高議会が作り上げたのは、持てる技術のすべてを結集した、唯一にして最大の対アーデル軍事組織、Charge of All Territory。通称CAT。

惑星中で展開されるアーデルとの戦いのさ中、クララ・キューダ属するCAT西ボリア支部は、突如として最高議会から、対峙する全アーデルの捕獲命令を言い渡される。

 

頼りない非殺傷武器と引き換えに、奪われてしまう通常火器。
日ごと進化しフェーレスたちを狙う、恐るべきアーデルたち。
真実を隠す昏き陰謀を斬り裂かんと、クララはその爪を研ぎ澄ます。

 

これは、小さき命を風に変え、種の黄昏に己の尊厳を賭して立ち向かう、少女たちの物語である。

 

 

 

 

 

< ロボニャー特需景気 >

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ウルタール歴2220年現在、世界連合が把握している西ボリア全域の人口は約五十万ほどである。

 

その三割を超える数のフェーレスが、何かしらの形でCATの兵器製造に携わり暮らしているといっても過言ではない。特にロボニャー関係の市場規模は、ロボニャー以外の兵器カテゴリ(コマンドギアやTama等小中規模搭乗兵器および携行火器類)をすべて合算したそれよりも大きく、アーデルと直接戦うことのない一般市民の経済活動も、アーデルに抗するための兵器が生み出す特需の上に成立している。

 

量産型と呼ばれこそすれ、CAT西ボリア支部の管理下で組み立てられるロボニャーの生産数は、年に5~6機がせいぜいだ。東のバーシム、西のパーリア、そしてこの二か所と正三角形を描くように位置する南のビスティブル。この三ヶ所に存在する高度にオートメーション化された工場で、パーツごとに製造と組み立てを分業し、それぞれ数百人のフェーレスが二ヶ月稼働することで、ようやく1機のロボニャーが組みあがるのだ。

 

西ボリア製ロボニャーを形作るフェレウス鋼材他あらゆる原材料には、主に東ボリアの大鋼掘(だいこうくつ)工業地帯で生産されたものが用いられる。世界連合がウルタール全体の戦況を分析し、生産量やCAT各支部への配分を管理、調整を行った上で、適切な配備計画が立てられる。

 

ただし、メインコンピューターをはじめとするあらゆる半導体部品や主要電子部品については、技術供与元であるワンズ支部の技術開発研究所からパーリアへの空輸により移送される。ことソフトウェアに関わる資料や、コクピットユニットで表示されるユーザーインターフェイスのメイン言語等に、広くワンズ、および最も大きな軍事力を持つ北アトランテの言語が並列して用いられるのは、この為である。

パーリアにはこれを管理する為に、ワンズ支部技術開発研究所との直結窓口がある。ここを経由した後、ロボニャー他各種搭乗兵器を制御するオペレーションシステム全般の組み込みは、主にコクピットユニット他管制機構を製造するパーリアの工場で一括して行われる。バーシムで製造する駆動部や、ビスティブルで製造する内燃機関や推進装置等、それぞれの制御を行うサブチップについても例外ではなく、予めパーリアでファームウェアを組み込まれたサブチップが、バーシムやビスティブルへ支給される形だ。

CAT西ボリア支部の兵器に関わるすべてのソフトウェアは、パーリアの管理下にあると言っていいだろう。

 

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連合の配備計画に基づき、ロボニャーの部品はパーリア、あるいはバーシムに集められ、最終組み立てが行われる。アーデル襲撃を警戒し、部品の輸送には主に空路が使われるが、ロボニャー部品一機分の輸送便の護衛に、CATのロボニャー一機以上がつくことも珍しくない。ロボニャー一機の増産の成否が、今後の戦局を左右することも充分にあり得るからだ。

 

ロボニャー製造工場は連合の公営であり、製造に直接従事するフェーレスは公務員である。ロボニャー以外の小中規模搭乗兵器の製造は民間企業に委託しているが、連合から割り当てられる潤沢な予算に加え、アーデルの魔の手から自分たちの身を守るという臨戦意識の共有により、その士気は高い。

 

また直接兵器製造に関わらずとも、この臨戦意識の共有がすべての産業を少なからず支えている。フェーレスの経済活動はアーデルの恐怖に委縮するどころか、むしろアーデル出現前よりも明らかに活発に循環しているロボニャー生産を始めとする軍事産業を、それ以外の産業に携わるフェーレスが支える。フェーレスの文明社会はまさに一丸となって、襲い来るアーデルに立ち向かっている。

 

パーリア住まいの一部の学者や投資家は、今の西ボリアの経済状況を「ロボニャー特需景気」と揶揄することもあるが、この景気の終わりがそのままフェーレスという種の敗北を意味することを、彼らとて重々承知しているはずだ。

 

 

 

 

 

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『ウルタールの黄昏』は現在<ストリエ>にて公開中です。

作:トオノキョウジ
原作:ジコウリュウ
キャラクター・メカニック原案:まめっち